静謐な美しさ、伊万里焼「染付山水図」の皿

皆さん、こんにちは! 今日は、私が長年大切にしている「古いもの」コレクションの中から、特にお気に入りの逸品をご紹介したいと思います。
古いものには、一つ一つに歴史や物語があり、見ているだけで心が豊かになりますよね。
唯一無二の存在感:静謐な美しさ「染付山水図」の伊万里焼
今回ご紹介するのは、こちらの美しいお皿です。
古い家を受け継いでいる方などは食器棚や蔵に普通にあるかもしれませんね。



このお皿は、白い素地に藍一色で絵付けされた、いわゆる「染付(そめつけ)」の伊万里焼です。絵柄は「山水図(さんすいず)」と呼ばれ、山、水(川や湖)、木々、そして小さな家屋などが描かれています。東洋画の伝統的な風景画の世界が、見事に器の中に表現されています。
特に目を引くのは、その繊細な筆致です。呉須(ごす)という顔料の濃淡を巧みに使い分け、松の木の葉一枚一枚から、遠く霞む山並み、そして岩肌の質感まで、細部にわたって丁寧に描き込まれています。
筆の運びには、手描きならではの温かみと、どこか悠然とした趣が感じられ、見れば見るほど吸い込まれるような魅力があります。
余白を活かした構図も、この絵柄に静かで落ち着いた雰囲気を与えています。



お皿の裏側、高台(器の底)には、窯元を示すと思われる印(銘)も見られます。この印が、このお皿がどのような歴史をたどってきたのかを物語っているようで、想像力を掻き立てられます。
このような特徴から、江戸時代に作られた「古伊万里」の可能性が高いのかなと見ています。
薪を燃料とする窯で焼成されたためか、現代の均一な製品とは異なる、手作りならではのわずかな歪みや、釉薬(ゆうやく)のムラなども、かえってこのお皿に個性と歴史の深みを与えているように感じます。
この一枚のお皿を眺めていると、遠い昔の日本の風景が目に浮かぶようです。
当時の職人たちの高い技術と、自然を慈しむ心が込められていることに、改めて感動を覚えます。
古いものに触れると、当時の職人たちの息遣いや、それらを使っていた人々の暮らしが感じられるようで、心が和みます。これからも、この美しい伊万里焼を大切に受け継いでいきたいと思っています。
※本記事に記載されている情報は、あくまで筆者の推測およびインターネット上の情報を元にしたものであり、その内容の正確性や真贋を保証するものではありません。
骨董品や美術品の価値判断については、必ず専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。